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『ジャーヘッド』

高く刈り上げた頭が、お湯を沸かすジャーのような形に見える事からこう呼ばれる、海兵隊員たちの視点から見た「湾岸戦争」の虚しい実態。

色々な意味でこれまでの「戦争映画」の持つイメージをひっくり返そう、という意図が見える作品になっています。

冒頭、入隊間もない主人公が経験する軍隊教練での非人道的なシゴキは『フルメタル・ジャケット』さながら(※主人公の入隊は88年、『フルメタル~』の公開は前年である87年)で、ヴェトナム戦争を経ても軍の気質そのものは変わってない事を示していますが…。

『地獄の黙示録』のベトコン村襲撃シーンを観ながら、兵士達が「ワルキューレの騎行」を大合唱したり「行けぇ…!」「撃てッ!」と叫び倒して盛り上がるシーンなどは、『地獄の~』が本来戦争批判の作品であるにも関わらず…と思わず苦笑い。本作の編集を担当したウォルター=マーチは他ならぬ『地獄の~』の編集でオスカーを得た人物であり、そこがまた何とも(^^;

とにかく、そうして心身や狙撃の技を鍛え上げ、これでもかと戦意を昂揚させて「いざ!」と乗り込んだ“戦場”たる砂漠には「敵の姿が無い」という皮肉!

劇中印象的な台詞がありまして…「この戦争は速すぎる。900mの射程(にいる相手)を撃つのにヴェトナム戦争では1週間、第1次大戦では1年。今はたったの10秒で命中。(手にしている)その銃も、構えているうちに“戦争”は彼方へ行く…」

ついに主人公が一人も殺すこと無く終わる「戦争映画」。

思えば、湾岸戦争の映像と言えば空軍機や長距離ミサイルによる爆撃の印象が強いですが、実際TVで扱われるのがそこばかりではさもありなん、と(夜のバグダッドに向けてのミサイル発射シーンなどは何度見た事か…)。そういう意味では、この作品はあくまで兵士の視点を保ったまま描かれており、新しい見方をこちらに与えてくれる物にはなっています。

味方の誤爆で危うく…という場面や、爆撃箇所に残る黒焦げの死体の山、特に(イラク軍が油田に火を点けたため)降り注ぐ原油の雨の中をドロドロになって進む姿などは、TV報道では決して見られなかったシーンだと思います。

主演のジェイク=ギレンホールは『遠い空の向こうに』『ムーンライト・マイル』等で気に入っていた役者ですが、ここでもなかなかでした…地味目に(今回も?)徹したところトカ(^^; オスカーを逃したのは残念でしたが『ブロークバック・マウンテン』も今から楽しみです。

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