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映画『ナイロビの蜂』

「家に帰るよ」

第78回アカデミー賞:助演女優賞(レイチェル=ワイズ)受賞作。

ケニア駐在のイギリス外交官・ジャスティン。活動家の妻・テッサを亡くした彼はその死に不信を抱き、真相を突き止めようと奔走する。その果てに彼は、妻の持つ愛の本当の深さを知る…、という物語。

素晴らしい作品でした。

ラブストーリーの部分を前面に押し出したベタ甘な展開なら思い切り白けるところでしたが、その背後にある陰謀を紐解いていくのが主軸になっているため、そうはなりませんでした。

開始早々妻は死亡し、主人公が出会いからの2人の時間を回想する40分程度でレイチェル=ワイズの出番はほぼ終わり。にも関わらず、ラストに至るまで常に感じるその存在感たるや! 彼女にまつわるエピソードの一つ一つが丁寧に描かれている上に、随所で効果的にフラッシュバックで挿入される為でもあるのですが、ここまで鮮烈な印象を残したテッサ役・レイチェルのオスカー、納得です。

ジャスティンが、僅かな手がかりを頼りに真相に迫っていく…と共に命を狙われるようにもなっていく、追いつ追われつの流れは一級のサスペンスとして見応えがあり(原作者は自身も諜報部経験があり、スパイ小説で有名)、ちゃんとエンターテインメントしているのもポイントです。

なにより画面の放つ力がとにかく尋常でなく、観る者は否応無く引き込まれていく筈です。トタン屋根の掘っ立て小屋が視界を埋め尽くすスラムの映像と、そこで暮らす…というより“生きる”人々(特に子供たち!)の姿が持つ説得力は絶大で、同様のシーンがいくつもスクリーンに飛び込んできます。また、重要な舞台となるトゥルカナ湖周辺の景観もかつて観た事が無い物で、圧倒されました。

映画産業が未発達なケニアでは撮影に多大なハンデを背負う事になるのを承知で進め、見事成し遂げたスタッフに拍手。意外なのは、英国外交部やケニア政府の腐敗を描いているにも関わらず両者が快く製作に協力したという事で、「これはあくまでフィクションであり、作品が持つメッセージが重要」との理解の良さにもまた拍手。

ケニア…ひいてはアフリカの抱える問題点や現実の厳しさについての問題意識を呼び起こすだけの力も備えていて、様々な意味で一級といって良いこの作品。断然オススメです。

 

正直、何故この作品がもっと大きく取り上げられないのか不思議です。アカデミー受賞後の公開ですし、せめてもう少し公開規模を大きくしてあげても良いのではないか、と。同じ事は先の『クラッシュ』(作品賞受賞作)でも思ったのですが…むむ。

『ダ・ヴィンチ・コード』も悪くは無いでしょうが、もし皆さんが観に行った時に劇場が混んでいて、どうするか迷う事があったら、『ナイロビの蜂』にチェンジする事も検討してみては? 実は似た構造を持った両作品、個人的には後者に軍配、です。

 

観る順序が逆じゃなくて良かった…(^^;

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コメント

http://www.blog.konami.jp/gs/hideoblog/2006/05/001688.html#more
『ナイロビの蜂』に関しては、
小島監督も同じようなコメントを残してマスよ。
すでにチェック済みかもですが(笑)。

>通りすがりの妹さん
 
 通りすがりで撫で斬りですか…いえいえ。
 ほほぅ、最近ひでぶは行ってなかったので…そんな事を仰ってましたか。
 『ナイロビ~』は我らのペアレンツも試写会で観て、しきりに感心しておりましたよ。
 時間が取れましたら是非御覧なさいな~。

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» ナイロビの蜂 [Sun log]
原題は Constant gardener ん、こっちの方がしっくり来ますね、 [続きを読む]

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