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映画『花よりもなほ』

「宗左さまは、糞を餅に変えたんです!」

一昨年、『誰も知らない』がカンヌ映画祭の最優秀主演男優賞(柳楽優弥)を受賞した事で話題を呼んだ是枝裕和監督の最新作。

時は江戸時代・元禄十五年、五代将軍・綱吉の治世。仇討ちが法制化、藩によっては賞金を出して奨励さえする中、父の仇を求めて貧乏長屋に身を隠す若き武士・青木宗左衛門(岡田准一)。学はあるものの、剣の腕はからきしで逃げ足だけは速い、そんな危なっかしい宗左の仇討ちは果たして成功するのか…? という話。

是枝監督は元々ドキュメンタリーの方面で定評を得ていた方だそうで、その新作が「時代劇」という事で、その意外性が関係者の間では結構噂になったそうです。ただ私、まーだ『誰も知らない』を観逃したままで…実は是枝作品は本作が初なんですよね(^^;

そんな訳で、まっさらな状態で観たのですが、実に真っ当に面白かったです。細かい所作や言葉遣いの点で時代劇の作法(考証)を外してはいますが、コレは意図的なもの。このおかげで、より観易く判り易い物になっています。何気にこうした所で時代劇を敬遠する人が多い事を考えると、まず英断だと思います。

舞台となる貧乏長屋の面々がまた適度にディフォルメされていて面白く、特にキム兄さん演じる孫三郎は最高! オープニングカットが彼のアップという所が、ある意味この作品の全てを象徴しています(笑)。黒澤和子氏(黒澤明監督の長女)の手になる衣装がまたキャラクターを良く表現していて見事の一言。

各登場人物の、悲喜こもごものエピソードに触れていく中で、宗左が自身の弱さの受け止め方を変化(≠成長)させていく様が微笑ましく、最終的に彼の取る行動にはついエールを送りたくなってしまいます。

セットがまた素晴らしく、間違い無くもう一人の主役(?)。黒澤監督『羅生門』を手がけ、半世紀以上も現場に携わり続けてきた馬場正男氏の匠の技が光ります。9割方舞台となる長屋の放つ、あの生活臭は只事じゃないッ(笑)!

キャストが口々に語る「古典落語を髣髴とさせる」というのが物凄く判る気がします。原田芳雄氏の言う「是枝落語」はけだし名言。監督コメントの、「楽しい嘘をついてみたい」が非常に良く表れた作品になっていたな、と思いました。

 

ここ数年で観た時代劇映画…『たそがれ清兵衛』『海は見ていた』『座頭市』『隠し剣 鬼の爪』等、ほぼ全ての衣装が黒澤和子氏の手がけた物だと気付いて驚きつつも流石…、と(^^;

馬場正男氏も、『壬生義士伝』『ラストサムライ』や、TVシリーズの『鬼平犯科帳』『剣客商売』等気付けばかなりお世話に(?)なっていて、80歳も間際というのに現役バリバリですし、もうすっかり感服~ですよ!

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