DVD・忠臣蔵 花の巻・雪の巻(1962年)
今年2月の伊福部昭音楽祭にて上映された『大坂城物語』を観て、稲垣浩監督作品に興味を示した旨をここで書きましたら、関西在住の知り合いである田亜湖さんから、5月のイベントで上京された際に色々と稲垣作品のDVDをお借りしまして…。これもその中のひとつ。あ、他もゆっくりながら順次消化しております~(笑)。
仕事が午後からだったので、せっかくだから14日の午前中に前編・花の巻を観、夜に仕事から帰宅した後で後編・雪の巻を観る、という形で気分を盛り上げ(?)ながらの鑑賞。…まぁ正確には討ち入りは旧暦の12月14日未明という事なので、実際には何の意味も無いワケですが(ぉ!!
さておき本編。
全体の感想としましては、いわゆる忠臣蔵にまつわるエピソードをなかなかバランス良く取り入れてあって飽きさせず、前後編合わせて3時間半弱の長さも気にならない良作で、非常に楽しめました! 個人的にはキャスティングによる所極めて大。
大石内蔵助が松本幸四郎(※先代。故・松本白鸚)。あらためて見ると、やはり現在の中村吉右衛門(2代目)に似ているなぁと。その吉右衛門(当時は初代中村萬之助)が萱野三平、兄である現在の9代目・松本幸四郎(当時は7代目市川染五郎)が矢頭右衛門七の役で出演しており、その共演だけでも自分としては楽しかったりします(兄弟の絡みは無いのですが)。
しかし、改名の機会の多い歌舞伎役者の過去作は顔と名前を一致させるのが大変…(^^;
今まで私が観た忠臣蔵物の中では印象の薄かった(もしくはそもそも描写されなかったりも…)俵星玄蕃(四十七士ではないが助勢する、宝蔵院流十字槍の使い手)を三船敏郎が演じている事で、一生忘れないキャラになりそう(笑)。この玄蕃と三橋達也演じる堀部安兵衛とが絡むエピソードはかなりイカしてます。
加山雄三の浅野内匠頭は「嫌がらせを受ける可哀想なお殿様」というよりも「頭が固くて世渡りが下手、かつ短気」という部分が目立ち、ある意味リアル? 以前塩の製法を吉良が尋ねた際ににべも無く断った、という話も加えられているため吉良側の心情もある程度察せられる作りになっているのは興味深いかもしれません。
他にも赤穂藩士に宝田明・平田昭彦・佐藤允・夏木陽介・加東大介・市川猿之助(当時は3代目市川團子)、女性陣にも司葉子・星由里子・草笛光子・水野久美、更に脇を固めるのが志村喬・小林桂樹・フランキー堺などなど…書ききれないほどとにかくキャストは豪華。
物語の序盤・中盤で良いアクセントとなる宿屋(主人を演じるのは森繁久彌)でのくだりも良い味を出していますし、四十七士の中でも、討ち入りの為に結ばれない悲恋があったり、病に倒れて果たせぬ者、愛人と心中して結局不参加の者など、広く細かい描写が盛り込まれており、人間ドラマに定評ありとされる稲垣監督らしさが窺われるように感じました。
四十七士は勿論、玄蕃や吉良方で有名な二刀流剣士・清水一角(正しくは“一学”らしいですが)の奮戦振りもちゃんとカッコ良く描かれており、チャンバラ分も満たされ大満足、でした。
音楽が音楽だけに、討ち入りシーンでは「四十七士じゃなくてゴジラが来てしまいそう(^^;」と思ってしまったのはナイショです。さすが伊福部ッ(笑)!!
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ああ、その気持ち解ります(笑)>討ち入り音楽。
もっとも、冒頭のメロディがゴジラのテーマに組み込まれたのはSF交響ファンタジーを経て平成ゴジラからなので、自分としては平成ゴジラの方に討ち入りイメージを持っておりましたが(^_^;)
あと、それ以前のゴジラ映画で言うと、『怪獣総進撃』のムーンライトSY-3のテーマ曲(大気圏突入時の音楽)が、このメロディなんですよね。…やっぱ討ち入り、進撃のテーマなんじゃないかなと思う次第。
どちらにせよ、派手で大好きです(笑)
投稿: 田亜湖 | 2008年12月19日 (金) 06時11分
>田亜湖さん
なるほど、勉強になります~。
1月のゴジラオールナイトで『怪獣総進撃』も観てまして、
今年だけでもう何度もこのメロディを耳にしている事に(^^;
でもやっぱりどうしてもテンションの上がる、まさに「進撃」の
テーマと言えましょう。
ゴジラもまた一通り観返してみますか…。
いずれ出るBDも狙いたいところですわ~。
投稿: kei | 2008年12月20日 (土) 03時19分